受験科目で「生物」を考えている人は、塾で授業を申し込まずに独学で入試対応ができるのか、気になるところですよね。
大学受験の理科の暗記量は生物>化学>物理で、計算量は物理>化学>生物となっています。
これを見る限り生物は暗記がメインなので独学でも勉強できそうですよね。
今回は生物・生物基礎が独学で勉強できるのか、独学で勉強する場合の勉強法について解説します。
いつから始めて、どの参考書がオススメかも解説しているので参考にしてください。
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目次
生物と生物基礎の違い
生物という科目には『生物』と『生物基礎』がありますので、まずは念のためこれらの違いについて解説しておきます。
生物と生物基礎の範囲
「生物」の科目で出題される内容はおもに下記の6つです。
- 生命現象と物質
- 遺伝子のはたらき
- 生殖と発生
- 生物の環境応答
- 生態と環境
- 生物の進化と系統
「生物基礎」の科目で出題される内容はおもに下記の4つです。
- 生物の特徴
- 遺伝子とそのはたらき
- 生物の体内環境の維持
- 生物の多様性と生態系
「生物」は「生物基礎」よりも範囲が広く、出題内容も発展的な内容であることを理解しておきましょう。
生物の勉強をするときに生物基礎をやらずに始めてもいいのか以下の記事でまとめているので参考にしてみてください
生物か生物基礎かは戦略的に選択する
文系であれば生物基礎を勉強して、理系であれば生物を勉強するというイメージを多くの受験生が持っています。
しかし必ずしもそういうわけではありません。
明治大学の文学部
(学部別入試)
国語:100点、英語100点、地歴:100点
(全学部統一入試)
国語:100点、英語:100点、地歴・公民・数・理(理科基礎+理科)から1つ:100点
(共通テスト利用入試前期)
国語:200点、英語:200点、地歴・公民・数・理(理科基礎から2つor理科基礎+理科):200点
このように文系の学生が明治大学の文学部で生物を利用しようと考えている場合、生物基礎の範囲だけでは全学部統一入試に受けることができないのです。
もちろん多くの受験生が生物ではなく地歴を選ぶかと思いますので、その場合であれば特に問題はありません。
このように自分の志望校や滑り止めの入試要項で、あらかじめ理科の範囲をきちんと調べておくことが大事になります。
生物や生物基礎は独学でも可能?
ここからは生物や生物基礎について独学で勉強できるかについてまとめていきます。
先ほど説明したように生物と生物基礎では範囲も違えば難易度も異なるため、それぞれ解説していきます。
生物は独学可能?
結論から言うと生物が得意なのであれば独学でも可能です。
得意というのはどれぐらいの勉強ができるのか、具体的に例を挙げてみます。
- 学校の授業についていけている
- 教科書の内容なら自分一人で理解できそう
- 模試の偏差値55以上とれる
これぐらいの勉強が既にできている、あるいはできる自信があるのであれば独学でも可能でしょう。
生物基礎は独学可能?
生物基礎は独学でも十分高得点を取ることができます。
先ほども説明したように生物基礎の勉強範囲は狭く、あまり複雑な問題も出題されない傾向にあります。
また生物基礎を勉強する受験生の多くは共通テストのみ利用して、一般入試や二次試験では生物基礎を使わないことも多いでしょう。
そのような受験生は入試全体の点数配分から見ても生物基礎の配点は小さいですし、独学で十分対応することができます。
生物を塾・予備校で受講すべき人の特徴
入試での生物の点数配分が高い
生物の勉強を独学か塾に通うか判断する際、志望校の入試の点数配分も視野に入れておくべきです。
立命館大学の生命科学部
(一般選抜全額統一方式)
英語:100点、数学:100点、理科(理科基礎+理科):100点
(学部個別配点方式理科1科目型)
英語:100点、数学:100点、理科(理科基礎+理科):150点
このように理系の学部によっては理科の配点が英語や数学と同じくらい、あるいはそれよりも高くなっていることがあり、その場合は当然理科の重要性がとても高くなります。
問題も基礎知識が問われる問題よりも、考察問題など理解力・応用力が問われる問題が出題されるでしょう。
このような場合はたとえ生物が得意だったとしても、確実に高得点を狙うために塾・予備校に通うことも視野に入れることも重要になります。
学校の授業が遅れている
学校の授業の進み具合は各学校によって大きく違います。
学校や先生によっては大学受験のことはあまり気にせず、卒業するまでに指定の範囲の授業を終えればいいと考えている方もいます。
しかし大学受験で生物を利用する人にとっては、いち早く授業で基礎的な内容を理解し、そこから復習や問題演習に取り組みたいはずです。
もしあなたの学校の生物の授業が遅れていて、受験勉強に影響が出ると感じているのであれば塾・予備校の授業を利用して理解度を上げるようにしましょう。
極端に生物が苦手
極端に生物(生物基礎)が苦手な場合は、塾や予備校に通うことをオススメします。
イメージしやすいと思うのですが、同じ20点上げるとしても、70点取れる科目を90点まで上げるよりも、20点しか取れない科目を40点まで上げる方がよっぽど簡単です。
20点しか取れていないのは基礎的な内容の理解、暗記が欠けているため、そこさえ乗り越えればすぐに点数が上がります。
一方、70点まで取れる科目は基礎的な内容の理解、暗記は完了しており、応用力を磨く勉強をしなければなりません。
このように、もしあなたが極端に生物が苦手なのであれば、その分の伸び代があるという考え方を持つことをオススメします。
そして塾・予備校を利用しながら基礎固めをしっかりすることで点数を取れるようにするといいでしょう。
生物・生物基礎の独学の勉強法
塾や予備校に通わずに独学で勉強して高得点を取るために、下記の6つのステップを実践していきましょう。
STEP1:まずは教科書で単元ごとの全体像を理解
まずはじめにやるべきことは単元ごとの全体像の理解です。
これをおろそかにして、いきなり用語の暗記から始める受験生がいますが、そのような勉強方法では逆に非効率なので注意しましょう。
具体的には光合成を例に解説していきます。
光合成には葉緑体のチラコイドやストロマまでの反応があり、その中には様々な用語や化学式がでてきます。
しかし、これらを一気に覚えようとするのではなく、まずは光合成とはどういったものなのか、全体像を理解する必要があります。
- 葉緑体が光を浴びることで化学反応が起き、NADPHとATPを生成する
- その際に水が分解されて酸素が放出される
- NADPHとATPはカルビン・ベンソン回路に受け渡される
- そこで二酸化炭素が固定され有機物が固定される
まずはこの程度のことを理解して勉強を進めていくことが大事になります。
STEP2:全体像と用語をリンクさせる
全体像を理解した後に用語を覚えていきます。
この時にそれぞれの用語が全体像のどの部分なのかを意識しながら覚えていくことで、単なる「暗記」ではなく「理解」につながるのです。
- チラコイドとは葉緑体の中にある一枚一枚の膜
- ストロマとは葉緑体内にある液体部分
このようなことを暗記すると、上述した全体像の中で
「1〜2はチラコイドで起き、3でチラコイドからストロマに受け渡され、4はストロマで起きている」
というように理解した全体像と暗記した用語をリンクして、さらに理解を深めていくことができるのです。
STEP3:標準的な問題集を解く
全体像の理解と用語の暗記の勉強がある程度できてきた段階で演習問題に移ります。
演習問題は難関大学用のものではなく、これまで勉強してきた内容に関する問題が網羅的に掲載されている問題集を利用しましょう。
(オススメの参考書は後述します)
生物の問題集は数学と違ってそれほど分厚くありませんし、一つ一つの問題を解くのにそれほど時間がかかることはありません。
そのためまずは全範囲を1周してみて、自分がきちんと理解して解けた問題と、理解が甘くて解けなかった問題を仕分けしましょう。
STEP4:再び教科書レベルの内容を人に説明できるレベルまで理解
問題集を解いてみて、自分が理解できていなかった点が明確になったと思います。
解けなかったところを重点的に、再び教科書レベルの内容を理解する勉強に移ります。
この時、勉強してきた内容を人に説明できるレベルまで理解を深めておくことをオススメします。
人に説明しようとすると、理解していたつもりでも、どうしても説明中に「あれ?これってどうなってるんだっけ?」と感じるポイントが出てきます。
そういったポイントを教科書で復習したり、調べたりすることで理解はどんどん深まり、このころには生物が得意になっているでしょう。
STEP5:問題集と教科書の反復
理解した内容を人に説明できるレベルまできたら、問題集の問題もほとんど解けるようになっているでしょう。
しかし、たまに間違えて理解してしまっていることもあるので、そういった点がないか問題集で確認しつつ、この前1周解いた問題集を完璧にマスターするようにしましょう。
マスターする問題集は1冊で大丈夫です。
問題集が完璧になるまでは「問題集⇆教科書」のように常に反復しながら理解を深めていくことが大事になります。
ここまでの勉強を完璧に出来れば偏差値60ぐらいまでは難なく上げることができます。
STEP6:過去問対策
ここまでで十分な基礎固めが完了しています。
あとは共通テストや志望校の過去問対策を進めていくようにしましょう。
特に私立大学の一般試験や国公立大学の二次試験では考察問題が出されることが多いため、ここからはこれまで理解した内容を使って応用力を鍛えていく必要があります。
過去問を利用しながら、自分が苦手な分野があれば、そこだけ別の問題集を購入して対策を進めていっても問題はありません。
生物・生物基礎はいつから勉強を始めるべきか
ここまでは生物・生物基礎に関する独学の勉強法について解説してきましたが、それぞれいつから始めるべきなのか悩む受験生も多いでしょう。
ここからは志望大学別で解説していきます。
国公立文系
国公立文系志望の受験生は英語、国語、数学の勉強がメインになるため、生物基礎にあまり時間をかける必要はありません。
夏休み前までに教科書や、教科書レベルの参考書を一周読んで全体像の把握をしておけば順調でしょう。
夏休みが始まってから細かな単語を暗記し、全体像とリンクさせていき、問題集に取り掛かり始めましょう。
9月〜10月ぐらいには問題集をある程度仕上げている状態に持って行き11月ぐらいから共通テストの過去問対策に取り組めれば良いペースです。
国公立理系
国公立理系の受験生の場合、生物をメインで利用するか、サブとして2科目目の理科として共通テストのみ利用するかで異なります。
メインで勉強する場合
夏休み前までに教科書レベルの内容をきちんと理解し、問題集に取り組み始めるぐらいまで勉強を進めておきましょう。
夏休み中に教科書と問題集をマスター出来れば順調です。
9月から共通テストと志望校の二次試験の過去問対策を始められると良いペースです。
サブで勉強する場合
当然メインの理科の勉強を優先するべきですので、夏休み前までに全体像の把握は完了し、細かな用語も少しずつ覚えていきましょう。
夏休みの前半には一通り教科書レベルの理解が完了し、問題集に取り組めれば順調です。
9月〜10月中には問題集を仕上げて、11月から共通テストの過去問対策に取り組めれば良いペースです。
私立理系
私立理系の受験生は英語、数学、理科の3科目で受験に臨む方がほとんどでしょう。
その場合、夏休み前から生物の勉強は英語や数学と同じくらい力を入れて勉強するようにしましょう。
夏休み前に問題集に取り掛かって、1周目が完了していると順調でしょう。
夏休み中には教科書の理解と問題集をマスターして、夏休み明けから過去問対策を始められると良いペースです。
生物・生物基礎のスケジュールについて更に詳細を確認する場合は下記の記事を参考にしてください。
生物・生物基礎の独学にオススメの参考書
生物・生物基礎の独学をする際にオススメの参考書を教科書レベルの暗記・理解用の参考書と問題集に分けて紹介していきます。
教科書レベルの暗記・理解用の参考書
- セミナー生物(第一学習社)
- エクセル生物(実教出版)
- チャート式生物(数研出版)
問題集
- 生物標準問題精講(旺文社)
- 実戰生物重要問題集(数研出版)
- 理系標準問題集 生物(駿台文庫)
さらに難度を上げた問題集に取り組みたい場合
- 生物思考力問題精講(旺文社)
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