私立大学を志望している場合、大学独自の一般入試対策の勉強を進めていくことが一般的です。
しかし大学入試には一般入試以外にも共通テストという試験もありますよね。
国公立大学に合格するためには一次試験として共通テストが必要になり、二次試験は学校ごとに課されることがほとんどです。
しかし私立大学の一般入試は共通テストの点数は一切関係ないため、共通テストを受けなくても私立大学に入学することができます。
そうすると「私立大学志望なら共通テストは関係ないのか?」という疑問が出てきますよね。
結論としては私立大学志望でも共通テストは関係大アリなのですが、今回はその理由を解説していきます。
目次
一般入試と共通テストの違い
まずは簡単に私立大学が独自に行う一般入試と共通テストの違いをおさらいしておきましょう。
一般入試は大学が独自に行うテストですが、共通テストは大学入試センターが大学受験を目指している受験生に向けて一括で行うテストになります。
私立大学の一般入試は3科目で、マーク形式や記述形式など出題方法は大学ごとに異なります。
共通テストは6教科30科目の中から自分が必要な科目を受け、出題方法はすべてマーク形式になります。
私立大学志望なら共通テストは関係ない?
本題の私立大学志望なら共通テストは関係ない?という疑問について解説していきます。
先ほど説明したように国公立大学は一次試験として共通テストが必要になりますが、私立大学は一般入試のみで入学することができます。
しかし、私立大学志望であっても共通テストは関係大アリです。
その理由はほとんどの私立大学は共通テスト利用の入試も行っているからです。
私立大学は一般入試を行い合否を決めていることを解説しましたが、それと並行して共通テスト利用での入試も行っていることがほとんどです。
実際に早慶、GMARCH、関関同立の中で共通テスト利用の入試がないのは慶應義塾大学のみです。
それ以外の大学はすべて共通テストを利用して入試を受けることができます。
つまり共通テストで私立大学に合格することができれば、一般入試をわざわざ受ける必要がなくなるのです。
私立大学志望であっても共通テストを受けることでチャンスを増やすことにつながるため、私立大学志望の受験生でも共通テストは大きく関係があるのです。
私立大学志望で共通テストを受けるメリット
ここからは私立大学志望の受験生が共通テストを受けるメリットを解説していきます。
- 志望校の入試を受ける回数が増える
- 1回の試験で複数の大学を受験できる
志望校の入試を受ける回数が増える
私立大学に入学するためには一般入試の他に共通テストを利用することもできるため、共通テストを受けていれば志望校に受験する回数も増やすことができるのです。
例えば、青山学院大学の経営学部の入試方式を確認していくと以下4つの方法で受験することができます。
- 一般選抜(全学部日程)
(一般入試のみ) - 一般選抜(個別学部日程)A方式・共通テスト併用
(共通テスト+一般入試) - 一般選抜(個別学部日程)B方式・共通テスト併用
(共通テスト+一般入試) - 共通テスト利用入学者選抜
(共通テストのみ)
このように、もし共通テストを受けていない場合ですと一般選抜(全学部日程)しか受験することができません。
しかし共通テストを受けていれば、その他全ての方法でも受験することができるので、最大で4回挑戦することができるのです。
このように共通テストを受けることで、自分の志望校に受かるチャンスを増やすことにつながることが最大のメリットになります。
1回の試験で複数の大学に受験できる
もう一つのメリットは、共通テストを1回受けることで複数の大学に一括で受験できることです。
例えば先ほどの青山学院大学の経営学部を志望していた場合、同じレベル帯である明治大学や中央大学の経営学部も受けておきたいと考えることは自然なことです。
一般入試しか受けない場合、青山学院大学、明治大学、中央大学それぞれの一般入試対策を進めていかなければなりません。
それ以外にも滑り止め・併願校として日本大学や東洋大学も受けておきたいとなれば、さらに対策すべき大学が増えてしまいます。
その点、共通テストを受けておけば、全ての大学に一括で共通テスト利用で入試を受けることもできます。
そうすることで第一志望である青山学院大学の過去問対策をメインに勉強しつつ、他の大学にも受験できるというメリットがあるのです。
私立大学志望で共通テストを受けるデメリット
ここまで私立大学志望の受験生が共通テストを受けるメリットについて解説しましたが、デメリットがあることも事実です。
それらのデメリットについても解説していきます。
- 共通テスト対策の勉強をする必要がある
- 共通テストに失敗したら、予定が狂ってしまう場合もある
共通テスト対策の勉強をする必要がある
一般入試は問題がマーク形式、記述形式などどのように出題されるかは大学によって異なります。
また同じ国語であっても大学によって現代文のみ出題される大学もあれば、古典や漢文まで勉強が必要になる場合もあり、志望している大学の出題に合わせた対策が必要になります。
それは共通テストも同じで、共通テストを受ける場合は一般入試対策とは別に共通テスト対策を行わなければなりません。
共通テストはすべてマーク形式ですが、ただ知識を知っているかどうかよりも、持っている知識を使った思考力や判断力が問われる問題が出題されます。
そのため共通テストを受ける場合は、志望校の一般入試対策とは別に共通テスト対策を行う必要があるのです。
共通テストに失敗したら、想定が狂ってしまう場合もある
共通テストを受けることで、共通テスト1回の試験で多くの大学の入試を受けることができることをメリットとして解説しました。
これをもとに「共通テスト8割とって〇〇大学を滑り止めで受けておこう」などと想定を立てることもあるでしょう。
しかし、いざ共通テストを受けてみて6割しかとれなかった場合、その滑り止めの大学にすら通らない可能性も大いにあります。
その時、滑り止めの大学の一般入試対策もしていれば、一般入試で挽回することもできますが、志望校の入試対策で一杯一杯な受験生がほとんどです。
そのため「共通テストで志望校の合格を目指しつつ、確実に滑り止めの大学には受かる」という目算を立てている場合、共通テストで失敗してしまうと考えていた大学に全落ちするリスクもあります。
共通テストは私立志望の受験生にとってとても重要なものですが、受験戦略を共通テストに依存してしまわないようにすることも大切です。
共通テストを受けないのはアリ?
私立志望の受験生が共通テストを受けるメリット・デメリットを解説してきました。
これらを受けて多くの方が共通テストは受けておいた方がいいのかな、となんとなくでもイメージはつけることができたと思います。
しかし共通テストは必ず受けないといけないのかと言われると、そうではありません。
共通テストを受けないのもアリです。
志望大学によっては共通テスト利用の入試がない、少ない場合もある
先ほど青山学院大学の経営学部を例にして、共通テストを受けなかった場合は1回、共通テストを受けた場合は最大4回のチャンスがあると解説しました。
しかし志望校によっては共通テスト利用の入試がない、あるいは少ない場合もあります。
例えば慶應義塾大学は共通テスト利用の入試はないため、一般入試のみになります。
それ以外にも、同じ青山学院大学でも経済学部であれば入試方式は下記のようになります。
- 一般選抜(全学部日程)
(一般入試のみ) - 一般選抜(個別学部日程)A方式
(一般入試のみ) - 一般選抜(個別学部日程)B方式
(一般入試のみ) - 共通テスト利用入学者選抜
(共通テストのみ)
このように、同じ青山学院大学でも学部が経済学部に変われば共通テストを受けなくても3回の一般入試に受けることができます。
このような場合、共通テストよりも一般入試対策を徹底したいと考えるのも十分に理解できます。
そのため、このように共通テスト利用がないor少ない場合は共通テストを受けないというのもアリです。
迷ったらとりあえず受ける
先ほど紹介したように、すでに志望校が明確に決まっていて、その志望校では共通テストをあまり重視していない場合は共通テストを受けないことも一つの手です。
しかしまだ志望校を決めきれていなかったり、共通テストを受けた方がいいか悩んでいる場合は受けることをおすすめします。
共通テスト対策をする時間がもったいないと感じるかもしれませんが、それ以上に大きなメリットがあります。
また共通テストで良い点数を取れれば志望校を上げることもできますし、受験の幅を広げるためにも迷った場合はとりあえず受けるようにしましょう。
「共通テスト対策は時間がもったいないのでは」という疑問・不安
当塾では基本的に私立志望の受験生であっても、共通テストを受けることを推奨しています。
もちろん受験戦略を立てて、共通テストを受けるメリットが小さいと判断した場合は受けないパターンもあります。
ただ私立志望の受験生に共通テストを受けることを推奨すると、下記の疑問や不安を持つ生徒もたまにいます。
「共通テスト対策の時間がもったいないのではないですか?」
確かに志望校の対策と共通テスト対策をしなければならないため、非効率だと感じてしまうかもしれません。
しかし、そうではありません。
GMARCHや関関同立やそれ以上のレベルを目指す場合、共通テストを比較すると一般入試の方が難易度が高いことが一般的です。
そのため志望している私立大学の一般入試対策をメインにしていれば、共通テストを解くために必要な学力は自ずとつけることができます。
共通テストを解くための学力さえ身につけることができれば、あとは出題形式や時間配分などの対策をしていけば良いのです。
つまり、志望校の一般入試に照準を合わせて勉強をしていれば、共通テスト対策に膨大な時間をとられる心配は必要はないのです。